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秋の匂い

 暑い日が続いていますね。記録的な猛暑が9月も続く予定だと、ニュースでも言っていました。

 僕は毎日、バイクで会社に通勤しています。雨の日、風の日、暑い日、寒い日、いつでもバイクです。8月はとにかく暑かったですね。バイクに乗るときは、長袖と決めているので、暑さはつらいですね。朝からむっとする熱気、夕方になっても気温は下がりませんでした。

 だけど、先週くらいからですかね。夕方の風の匂いが変わりました。さわやかな感じで、からっとしています。湿気を含んだ熱風とは違ってきました。空も高くなりました。夕方から夜にかけての虫の鳴き声も秋らしくなってきたような気がします。秋の匂いがします。

 バイクは季節を感じることができる乗り物。体をむき出しにして、自然を五感で感じることができます。微妙な空気の匂い、風の音、大気の湿度。些細な変化でも、敏感に感じることができる。そして、季節が変わっていく様子をリアルに感じられる。

 季節が変わる瞬間を実感したことありますか? その瞬間は、ふっと流れてきた風でわかります。冬から春になろうとしているとき、夏から秋になろうとしているとき。バイクに乗っていれば、その瞬間は、きっとわかりますよ。

http://www.geocities.jp/mjy_t/

 

秋の匂い

 暑い日が続いていますね。記録的な猛暑が9月も続く予定だと、ニュースでも言っていました。

 僕は毎日、バイクで会社に通勤しています。雨の日、風の日、暑い日、寒い日、いつでもバイクです。8月はとにかく暑かったですね。バイクに乗るときは、長袖と決めているので、暑さはつらいですね。朝からむっとする熱気、夕方になっても気温は下がりませんでした。

 だけど、先週くらいからですかね。夕方の風の匂いが変わりました。さわやかな感じで、からっとしています。湿気を含んだ熱風とは違ってきました。空も高くなりました。夕方から夜にかけての虫の鳴き声も秋らしくなってきたような気がします。秋の匂いがします。

 バイクは季節を感じることができる乗り物。体をむき出しにして、自然を五感で感じることができます。微妙な空気の匂い、風の音、大気の湿度。些細な変化でも、敏感に感じることができる。そして、季節が変わっていく様子をリアルに感じられる。

 季節が変わる瞬間を実感したことありますか? その瞬間は、ふっと流れてきた風でわかります。冬から春になろうとしているとき、夏から秋になろうとしているとき。バイクに乗っていれば、その瞬間は、きっとわかりますよ。

http://www.geocities.jp/mjy_t/

 

愛車との別れ

 愛車の調子はずいぶん前から悪かった。セルスイッチを押しても、エンジンがかからない時があった。何度か押すとエンジンはかかるため、だましだまし乗っていた。
 そして、エンジンがかからないことが頻繁に起こるようになり、僕はいつものバイク屋の親父さんに見てもらうことにした。
「セルボタンの接点だけだったらいいが、セルモーターかもしれんな。そうなったら、バラさなきゃいかんぞ」
 セルボタンに接点復活剤を吹きつけながら、バイク屋の親父さんが言った。
「これで変わらないようなら、セルモーターだな」
「そうなったら、入院ですか?」
「当たり前だ。オイルも交換だ」
 僕のバイクは新車で購入して十三年以上乗り続けていることを、この親父さんは知っているはずだ。それにもかかわらず、新車を勧めることを一切せず、なんとか直そうとしてくれている。十三年前、バイクのバの字も知らなかった若い頃、ただ安いという理由だけで見つけたバイクショップでこの愛車を買った。このバイク屋の親父さんのところで買ったバイクではないのに、親父さんは親身になって愛車の面倒を見てくれている。四年前にはエンジンのオーバーホールをしてもらい、三年前にはフロントフォークのオーバーホールもしてもらっていた。
「とりあえず、様子を見てみます」
 僕は親父さんの店を後にした。
 
 翌日。仕事から帰る際、やはりエンジンがかからない。何回、何十回セルスイッチを押しただろうか。ようやくエンジンがかかり、ほっとした僕は帰路についた。
 買い替えか、修理か。どちらか決断しなければならないときが来たようだ。今のバイクには愛着がある。なにしろ、生まれて初めて買ったバイクなのだ。それを三十五歳になる現在まで乗り続けてきたのだ。エンジン自体は調子がいいし、いろいろな消耗品も交換したばかりだった。
 しかし…。乗り続けていくとしたら、修理が増えていくのではないか。セルモーターを直したところで、他にも調子の悪い部分はあるし、交換したい箇所もたくさんある。あちこちガタがきているというのも確かだ。
 それよりなにより、新しいバイクに大きな魅力を感じていた。
 ダメもとで妻に買い替えの相談をしたら、意外にも許可が下りた。その夜、僕は買い替えを考えている旨をバイク屋の親父さんへメールした。うれしくて、なんだか子供みたいに目が冴えてしまい、布団に入ってもなかなか寝付けなかった。
 
 翌日。会社から帰る際、やはり愛車のエンジンがかからない。セルスイッチを何度も何度も押してみる。エンジンはかからない。この日はいくら押してもかからなかった。
 バイク屋の親父さんへ電話を入れると、文句を言いながらも、十キロ以上離れたここまで、トラックで来てくれるという。ありがたいと感じたと同時に、僕はすでに決心をしていた。
 
 トラックに不動となった愛車を積み、助手席に乗せてもらって、親父さんのバイク屋へ向かう。
「これからは、二気筒のバイクが増えていくかもしれんなあ」
 トラックの中で、インジェクションの話題をしていたときに親父さんの口から出たつぶやきだ。二気筒のネイキッドか。面白そうだと僕は思った。
 バイク屋に到着すると、僕は今のバイクと同じバイクを新車で購入する契約を、その日にした。
 
 妻に買い替えの相談をしたこと。バイク屋の親父さんへのメール。うれしくて眠られなかったこと。それらを愛車は見ていたのかもしれない。あの日、あのタイミングでまったく動かなくなったのは、僕への最後の気遣いだったのかもしれない。もうがんばらなくてもいい。そうして、あいつは張っていた気を緩めて、動かなくなり、結果的に僕に買い換えを決心させてくれた。
 
「生まれて初めて買ったバイクに今も乗っているんですよ」
 おまえは僕の自慢だった。
 十三年と四ヶ月。すばらしい日々とたくさんの思い出をありがとう。
 
 
カワサキ エストレヤカスタム 96年式
77000km
2009年10月27日 不動となり、廃車
 

愛車との別れ

 愛車の調子はずいぶん前から悪かった。セルスイッチを押しても、エンジンがかからない時があった。何度か押すとエンジンはかかるため、だましだまし乗っていた。
 そして、エンジンがかからないことが頻繁に起こるようになり、僕はいつものバイク屋の親父さんに見てもらうことにした。
「セルボタンの接点だけだったらいいが、セルモーターかもしれんな。そうなったら、バラさなきゃいかんぞ」
 セルボタンに接点復活剤を吹きつけながら、バイク屋の親父さんが言った。
「これで変わらないようなら、セルモーターだな」
「そうなったら、入院ですか?」
「当たり前だ。オイルも交換だ」
 僕のバイクは新車で購入して十三年以上乗り続けていることを、この親父さんは知っているはずだ。それにもかかわらず、新車を勧めることを一切せず、なんとか直そうとしてくれている。十三年前、バイクのバの字も知らなかった若い頃、ただ安いという理由だけで見つけたバイクショップでこの愛車を買った。このバイク屋の親父さんのところで買ったバイクではないのに、親父さんは親身になって愛車の面倒を見てくれている。四年前にはエンジンのオーバーホールをしてもらい、三年前にはフロントフォークのオーバーホールもしてもらっていた。
「とりあえず、様子を見てみます」
 僕は親父さんの店を後にした。
 
 翌日。仕事から帰る際、やはりエンジンがかからない。何回、何十回セルスイッチを押しただろうか。ようやくエンジンがかかり、ほっとした僕は帰路についた。
 買い替えか、修理か。どちらか決断しなければならないときが来たようだ。今のバイクには愛着がある。なにしろ、生まれて初めて買ったバイクなのだ。それを三十五歳になる現在まで乗り続けてきたのだ。エンジン自体は調子がいいし、いろいろな消耗品も交換したばかりだった。
 しかし…。乗り続けていくとしたら、修理が増えていくのではないか。セルモーターを直したところで、他にも調子の悪い部分はあるし、交換したい箇所もたくさんある。あちこちガタがきているというのも確かだ。
 それよりなにより、新しいバイクに大きな魅力を感じていた。
 ダメもとで妻に買い替えの相談をしたら、意外にも許可が下りた。その夜、僕は買い替えを考えている旨をバイク屋の親父さんへメールした。うれしくて、なんだか子供みたいに目が冴えてしまい、布団に入ってもなかなか寝付けなかった。
 
 翌日。会社から帰る際、やはり愛車のエンジンがかからない。セルスイッチを何度も何度も押してみる。エンジンはかからない。この日はいくら押してもかからなかった。
 バイク屋の親父さんへ電話を入れると、文句を言いながらも、十キロ以上離れたここまで、トラックで来てくれるという。ありがたいと感じたと同時に、僕はすでに決心をしていた。
 
 トラックに不動となった愛車を積み、助手席に乗せてもらって、親父さんのバイク屋へ向かう。
「これからは、二気筒のバイクが増えていくかもしれんなあ」
 トラックの中で、インジェクションの話題をしていたときに親父さんの口から出たつぶやきだ。二気筒のネイキッドか。面白そうだと僕は思った。
 バイク屋に到着すると、僕は今のバイクと同じバイクを新車で購入する契約を、その日にした。
 
 妻に買い替えの相談をしたこと。バイク屋の親父さんへのメール。うれしくて眠られなかったこと。それらを愛車は見ていたのかもしれない。あの日、あのタイミングでまったく動かなくなったのは、僕への最後の気遣いだったのかもしれない。もうがんばらなくてもいい。そうして、あいつは張っていた気を緩めて、動かなくなり、結果的に僕に買い換えを決心させてくれた。
 
「生まれて初めて買ったバイクに今も乗っているんですよ」
 おまえは僕の自慢だった。
 十三年と四ヶ月。すばらしい日々とたくさんの思い出をありがとう。
 
 
カワサキ エストレヤカスタム 96年式
77000km
2009年10月27日 不動となり、廃車
 

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