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CAR裏・新規自動車寸評 スバル BRZ

2012.02.22

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日本では絶えて久しかったコンパクトスポーツという分野に2台のニューカマーがやってきた。スバルBRZとその兄弟車ともいえるトヨタ86だ。今回はそのうちのスバルBRZを紹介しよう。あくまでも番外編である。何故なら、試乗したのがツインリンクもてぎのレーシング・コースとその外周路という限定された場所で、まだナンバーも付いていない車両だったためだ。

シンプル&ピュア。明快なコンセプトのクルマ

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まとまりのよいデザインだと思う。2+2というレイアウトにしたためルーフが少し間延びしている。潔く2シーターにしたら、もっと格好よかったはず

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この角度からだとルーフの間延び感がなくいい感じだ

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スバルお得意の水平対向にトヨタの直噴技術を合わせたエンジン

●どんなクルマ
 コンパクトな2+2シータースポーツクーペ。全長x全幅x全高が4240x1775x1300㎜で、お値段も極力抑えてくれた走りを楽しむにはもってこい。運転することに喜びや楽しさを感じさせてくれるクルマに仕上げられている。基本的な開発と設計はスバルが行い、ボディ・デザインをトヨタが担当したと言われるモデルだが、例えばエンジンはスバル伝統の水平対向ながら、直噴技術はトヨタのものを入れるなど、見事に良いとこ取りをしたものに仕上がっている。スポーツカーというジャンルのクルマは当然ながら誰にでもお勧めできるものではないが、単にA地点からB地点に速く快適に移動できることだけがクルマ持ち味でないことを改めて感じさせてくれる。そして寄り道をしたくなるクルマ。それがBRZだった。

 ●どんな特徴
 単純明快に、運転することが楽しい。まさにそこを突いたのがBRZだ。エンジンはスバルお得意の水平対向4気筒で、ボアxストロークともに86㎜というスクエアストローク。敢えて解説をするなら、このシリンダーの直径(ボア)と長さ(ストローク)の関係は、ストロークをボアよりも大きく取れば低速トルクを厚くし運転のし易いエンジンになる。逆にボアを大きくすればパワーが増すがトルクバンドは減る傾向で、ある特定の回転域で走れば非常に楽しいエンジンに仕上がる。水平対向というエンジンはどうしても横方向に長くなるため、ストロークを長くするとボディの全幅が大きくなり、日本のように全幅を制限した5ナンバーサイズに拘れば、どうしてもショートストローク、即ちストロークを抑えたエンジンを作らざるを得ないというスバルの事情があった。それゆえにスバルは走りが面白く、一部の熱狂的なマニアに支持されていた側面がある。だが、5ナンバーが有名無実化した今となっては、走り易いロングストローク化に舵を切り、先般発売されたインプレッサではそれを実現していた。しかし、スポーツカーという走りを重視するこのクルマの場合は敢えてスクエアストロークに戻し、走りの楽しさと扱い易さの両立を求めたエンジン設計とされているところに特徴がある。トランスミッションは6速マニュアルもしくは6速ATが選べるが、勿論走りを楽しむためなら、ためらいなくマニュアルがお勧めだが、ATでもかなり楽しく走れたことを報告しておこう。

●○と×
 水平対向独特のサウンドビートに○。何よりもそのファントゥドライブに○。個人的には素直にカッコイイと思えたスタイリングに○。この種のクルマだから仕方がないが敢えて低速での乗り心地に×
 

久々に欲しいと思わせてくれた国産スポーツカー

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斬新さはないが、機能性にすこぶる優れたインテリア。マニュアルのシフトフィールもとてもよかった

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外周路を走行中のショット。よってヘルメットもグローブもなし

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発売されたら、この顔をバックミラーで見る人が多くなるはずだ

●どんな人向け
 まずはスポーツカーファン、及びスバルファン。スポーツカーに乗るって一体どういう世界?というスポーツカー初心者。手ごろな値段でスポーツカーが欲しい人。

○乗ってみて。中村孝仁のお勧め度
 冒頭でも話した通り、試乗はクローズド・コース、ツインリンクもてぎの西コースとオーバルの2/3を使ったコースで行われた。もてぎのレーシングコースをスタートし、ピット裏の直線から右、左、右と曲がって一旦メインストレートを横断、そこからオーバルに入り1ターン、2ターンから裏ストレートを走り、3ターンに入口手前のシケインを抜けてピットに戻るという設定だ。クローズされた場所だから限界まで攻められる。勿論ドライバーの資質にもよる限界だが、オーバルの1ターンから2ターンをインベタ全開で回ると150㎞/h前後で緩やかにリアが流れ出す。コントロールはすこぶる容易だし、いざとなればバンクに逃げられる安心感があるからぎりぎりまで攻めるとこうなった。一方バンクを使って3ターン入口まで全開で攻めると、トップスピードはおおよそ195㎞/h。恐らく3ターンの入り口をもっと攻めれば200㎞/h越えは間違いないことを確認した。勿論長いストレートを走ればトップスピードはさらに高くなるはず。エンジンは非常にビートの効いたサウンドを発し、独特。勿論スムーズさやトルクの乗り、回転フィールなどは文句なしだ。ATは当然ながらマニュアルシフトに対応するが、さすがにダウンシフトはほんの一呼吸ほど遅れる。だからマニュアルの持つぎりぎりまで攻められる乗り方にはそぐわないが、スポーツ性は充分と感じた。とにかく左右にヨーモーメントを出しながら走る連続するコーナーでも非常にコントロールし易かった。理由の一つはタイヤだ。ベースモデルの16インチはともかくとして17インチの方はミシュランのプライマシーというタイヤ。このタイヤはスポーツ性とコンフォート性の両立を目指したもの。BRZのよう性格なら、同じミシュランでもパイロットスポーツをチョイスすると思っていたが、敢えてプライマシーを採用したのだ。つまりは限界はパイロットスポーツに比べれば低く、当然ながら高速コーナリングでのリアの流れ出しは早い。しかも破綻は穏やかだ。それが流れ出してもコントロールし易い性格に繋がっていると思う。低重心やサスペンションセッティングも走りの楽しさを高める要素だろうが、僕にはこのタイヤチョイスが一つ鍵を握っている印象を受けた。久々にサーキットを走って楽しい国産スポーツに巡り合った。

お勧め度 ★★★(3段階評価/スポーツカーファンに限って)

photo: Yoichi Suzuki, Gao Nishikawa
text: 中村孝仁
special thanks:
富士重工株式会社
http://www.subaru.jp

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