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MOTORCYCLERider's Story 『原付とビッグバイク』

2010.11.10

静岡在住の小説家、武田宗徳がお届けする"Rider's Story"

写真


文と写真:武田 宗徳

 オートバイ歴は十五年。好きが高じて3年ごとに乗り換えてきた。GB250クラブマンから始まり、ゼファー400、CB750、CBR1000RR、そして現在の愛車は、DUCATI ST3だ。最近は仕事が忙しく、一年に数回しか乗れていないが、その仕事のおかげで、欲しいオートバイを手に入れることができている。

 しかし最近、私は何か物足りなさを感じていた。それが何なのかよくわからない。

 同僚がオートバイを買った。なんとモンキーだ。自動二輪免許が無く、忙しくて免許も取りにいけず、それでもオートバイが欲しくて50ccであるモンキーを購入したという。

 彼は目を輝かせて私に言った。

「楽しいよ。風を切って走るって解放感があって、ホントいいよね。モンキーって改造パーツがたくさんあるんだね。しばらくしたら、そっちにも手を出そうかと思って」

 排気量がたった50ccのオートバイを手に入れて、こんなにも楽しそうに、そして生き生きしている彼を見て、私は驚き、同時に気付かされた。それは、原付もビッグバイクも同じオートバイであるということ。排気量が違っても、楽しさは同じなのだということだ。

 彼を見て、私は自分が生まれて初めて買ったオートバイ、GB250クラブマンに乗っていた頃のことを思い出した。

 シンプルな単気筒のオートバイで、よく改造もした。パーツもいろいろ売られていて、試行錯誤しながら、ウインカーやマフラーを交換したり、ペイントもした。オイル交換やプラグ交換などのメンテナンスも全て自分で行っていた。

 今まで乗ってきたオートバイで一番走行距離を稼いだのもクラブマンだった。ツーリングも、その頃は毎週のように行っていて、愛車との写真もクラブマンが一番多いだろう。

 オートバイに夢中になっていたあの頃の熱い気持ちが、今も同じくらいあると言えるだろうか。

 今のオートバイ、DUCATI ST3は果たして自分の身の丈にあったオートバイなのだろうか。ハイパフォーマンスと優れたハンドリング。抜群の乗り心地と効きのいいブレーキ。そして、どこで走ったらいいのかわからないほどのスピード。収入が増えたからといって、私は見栄を張って、DUCATI ST3を買ってしまったのだろうか。はっきり言って、私はこのオートバイを乗りこなしているとはいえない。乗せられている、という感じなのだ。改造する余地など無い。メンテナンスもすべてショップ任せ。私は、果たしてこのオートバイを本当に楽しんでいるのか、素朴な疑問がわいた。

 「いいんですか」

 店員が私にもう一度聞いてきた。私は今、オートバイショップの中古車コーナーにいる。

 「いいですよ」

 「DUCATIを下取りに出されて、この中古のクラブマンを購入されるということで、いいんですね」

 「はい」

 私は程度のいいクラブマンを見つけ、そして今、購入しようとしている。DUCATI ST3を下取りに出してだ。恐らくお釣りがたくさん返ってくるだろう。

 私は今、歳甲斐もなくワクワクしている。まるで、生まれて初めてオートバイを買おうとしている少年のように。


武田宗徳(たけだ・むねのり)

 1974年静岡県生まれ。96年よりモーターサイクル(カワサキ・エストレア)に乗りはじめる。2000年頃よりバイク小説を書きはじめ、02年からは自らの小説による手作りのフリーペーパー、『Rider's Story』の編集・発行、静岡県を中心に配布している。GOGGLEやOutRiderなど雑誌への掲載実績も複数、ON THE ROAD MAGAZINE本誌では06年より小説『Rider's Story』を連載。08年、静岡学術出版より新書『バイク小説短編集"Rider's Story"~僕は、オートバイを選んだ~』を出版。09年、13年以上乗り続けた愛車エストレアが不動となり、09年モデルの同じエストレアを新しい相棒とする。プライベートは夫であり二人の男の子の父。現在静岡県藤枝市を拠点に活動中。



ホームページ:http://www.geocities.jp/mjy_t



ブログ『Rider's Life』:http://www.orm-web.co.jp/blog/riders_life
 

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